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Heartseed、iPS細胞を用いた心筋再生治療薬HS-001の 第I/II相LAPiS試験における1例目の移植成功

本資料は、報道関係者の皆さまへ提供するものです。本製剤は日本を含めて現在開発中であり、未承認の製剤です。

-1例目となる重症心不全患者は移植後、経過順調-
心筋細胞の長期生着を目指す「心筋再筋肉化」の実現に大きな前進

Heartseed株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:福田恵一、以下Heartseed)は、虚血性心疾患に伴う重症心不全を対象とする他家iPS細胞由来心筋球 (開発番号: HS-001) の国内第I/II相治験 (LAPiS 試験) において、最初の患者への移植に成功したことをお知らせいたします。

 HS-001は、Heartseedの基盤技術に基づいて他家iPS細胞由来の純化精製心筋細胞を微小組織(心筋球)にした、重症心不全に対して開発中の再生医療等製品で、複数の非臨床試験で安全性・有効性が示されています。HeartseedはHS-001の初めての患者への投与となる治験、LAPiS試験を国内で進めており、この度、1例目の患者さんへの移植が東京女子医科大学病院にて2022年12月中旬に無事終了しました。患者さんの経過は概ね順調に推移しています。独立安全性評価委員会は、この患者さんの4週間のデータを評価した結果、同治験の継続を承認しています。引き続きHS-001の臨床評価を進めてまいります。

LAPiS試験は、虚血性心疾患に伴う重症心不全患者を対象とする52週間の第I/II相多施設共同、非盲検、用量漸増試験です。冠動脈バイパス手術と合わせて、開胸下で専用の移植デバイスを用いてHS-001を心臓の心筋組織内に移植します。予定症例数は10例で、前半の5例には5,000万個、後半の5例には1億5千万個の心筋細胞を移植します。

本試験の主要評価項目は移植後26週目の安全性であり、副次的有効性評価項目として、左室駆出率および心筋壁運動評価などを段階的に評価してまいります(jRCT登録番号:2033210163、Clinical Trials.gov登録番号NCT04945018)。

心不全は心筋梗塞等の虚血性心疾患や拡張型心筋症などが原因で、心臓が全身に必要な血液と酸素を十分に送り出せなくなる、慢性かつ進行性の疾患です。国内で 120 万人、世界で 6,500 万人以上が心不全とされ、患者数は「心不全パンデミック」と呼ばれるほどの増加を続けています。心不全を含む心臓病は国内ではがんに次ぐ死因の第2位、世界ではトップを占めています。近年の治療の進歩にもかかわらず、重症心不全の治療は主に症状を緩和するもので、心臓移植以外に抜本的な治療手段がなく、革新的な心不全治療法の開発が求められています。

1例目の移植を担当した東京女子医科大学病院 心臓血管外科 教授の新浪博士先生は次のように述べています。
「心筋球の移植は通常のバイパス手術後、1時間以内で特に問題なく終わりました。施術や免疫抑制剤に伴う重篤な合併症や副作用もなく、術後の経過も良好です。重症心不全治療の進歩に向けた大きな一歩となったと思います。1例目の患者さんとご家族をはじめ、関係者の努力に感謝します。」

この度の1例目の患者さんへの移植が完了したことについて、Heartseed 代表取締役社長の福田恵一は次のように述べています。

「私は循環器内科医として長年にわたり、心臓の働きが悪くなり、日常生活もままならない心不全の患者様を何とか治療したいと考え、心筋再生医療の実現に取り組んできました。その目的を達成するためにHeartseedを設立し、患者様の安全とベネフィットを最優先に、開発を続けてまいりました。そしてこの度HS-001の1例目の移植が無事に行われましたことは、私が長年思い描いてきた、これまでにない心不全の新たな治療法の確立に向けての大きな第一歩であると確信しております。これまでご尽力いただいた全ての方々に深く感謝申し上げます。」

またHS-001の開発・製造・販売に関して、Heartseedはノボ ノルディスクA/S社(本社:デンマーク・バウスヴェア、社長兼最高経営責任者(CEO):ラース フルアーガー ヨルゲンセン、以下 ノボ ノルディスク社)と全世界での独占的技術提携・ライセンス契約を締結しております。

ノボ ノルディスク社の幹細胞治療研究開発ユニット コーポレート バイス プレジデントのヤコブ ステン ピータセンは次のように述べています。

「細胞治療は、重篤な慢性疾患に罹患している患者さんに対して、真に疾患を改善する治療法として期待されています。我々のパートナーであるHeartseed社が、心不全に対するこの画期的な治療法の臨床試験を開始したことを大変嬉しく思います。Heartseed社の日本における先駆的な取り組みを基に、世界中の心不全を患う方々に革新的な治療法を提供することを目指します。」

なお、本治験の実施には、日本医療研究開発機構(AMED)より、以下の支援を受けております。
再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援) 「iPS細胞由来再生心筋細胞移植療法の産業化を見据えた臨床試験(治験)移行のための品質・安全性の検討ならびに当局対応」(代表者:福田 恵一)(2018年度-2020年度)

 

HS-001について】

HS-001は、他家iPS細胞から心室筋を高純度で作製し、生着率を高めるために心筋球と呼ぶ微小組織にしたものです。単一細胞と比較して、心筋球にすることで細胞移植の生着率や生存率が向上することが非臨床試験で確認されています。心筋球は心臓の心筋層内へ投与することを目的として開発した専用の投与針(SEEDPLANTER®)とガイドアダプターを用いて移植します。

移植した心筋球は、患者の心筋と結合して再筋肉化することで心収縮力を改善し、また種々の血管新生因子を分泌して移植部位周辺に新たな血管を形成する (neovascularization) という作用機序が期待されています。

 

【ノボ ノルディスク社との提携について】

ノボ ノルディスクは、1923年創立のデンマークを本拠とする世界有数のヘルスケア企業です。2021年6月1日、Heartseedとノボ ノルディスクは、ノボ ノルディスクに日本を除く全世界におけるHS-001を開発、製造、販売する独占的な権利を付与する契約を発表しました。日本ではHeartseedが単独で開発し、両社が利益・コストを50:50で案分する形で事業展開を行います。この提携で、Heartseed は 55 百万米ドルの一時金・短期マイルストーンを含め、最大合計 598 百万米ドルをノボ ノルディスクより受領いたします。また海外の年間純売上高に応じて漸増する1桁後半~2桁前半パーセントのロイヤルティも受領いたします。

 

Heartseed株式会社について

Heartseedは慶應義塾大学医学部循環器内科福田研究室のシード技術の事業化による心筋再生医療の実現化を目指して、2015年に設立されたバイオベンチャーです。iPS細胞から高純度の心室型心筋細胞を作製する技術、移植技術やiPS細胞の作製方法など、心筋再生医療の普及に必要な多数の独自技術を有しています。これまでに 「Japan Venture Awards 2021」 において「科学技術政策担当大臣賞」を、「大学発ベンチャー表彰2021」において「文部科学大臣賞」を、Asia-Pacific Cell & Gene Therapy Excellence Awards (ACGTEA) 2022において、Most Promising Pipelines Awardを受賞しています。より詳細な情報はウェブサイトLinkedinYouTubeをご覧ください。

社名      Heartseed株式会社 (Heartseed Inc.)

設立      2015年11月30日

本社所在地     東京都新宿区大京町12-9 アートコンプレックス・センター302

事業内容      iPS細胞を用いた心筋再生医療

株主   創業メンバー/役職員/Angel Bridge/Astellas Venture Management/澁谷工業/SBIインベストメント/JMDC/キッズウェル・バイオ/ニッセイ・キャピタル/SMBCベンチャーキャピタル/伊藤忠ケミカルフロンティア/メディパルホールディングス/東大協創プラットフォーム開発/メディカルインキュベータジャパン/慶應イノベーション・イニシアティブ(KII) /三井住友トラスト・インベストメント

代表取締役社長      福田 恵一

本リリースに関するお問い合わせ先

Heartseed株式会社 広報担当 安井 季久央

〒160-0015 東京都新宿区大京町12-9 アートコンプレックス・センター302

TEL: 03-6380-1068 FAX: 03-6457-4895 kikuo.yasui@heartsheed.jp

http://www.heartseed.jp/